街を彩る居酒屋やバーは、美味しい料理やお酒を味わえるだけでなく、いろいろな人が集まる憩いの場でもあります。そんな居酒屋やバーなどで将来的に開業・独立し、一国一城の主として夢を実現したいと考えている方もいるでしょう。しかし居酒屋やバーの経営も他の商売と同じく、経営していくことはとても大変です。この記事では会社や商店の経営をしたことがないけれども、将来的に居酒屋やバーの経営をやってみたいという方のために、実際の開業・独立の大まかな流れを説明していきます。

1.開業前の準備その1~資格と申請~

2.開業前の準備その2~コンセプトの決定・資金調達・物件探し~

3.開業前の準備その3~内装設備工事とお店の雰囲気づくり~

4.開業前の準備その4~仕入れルートとメニューの決定~

5.開業準備その5~宣伝~

まとめ

1.開業前の準備その1~資格と申請~

お店を開業するには必要な許可や資格があります。必要な資格と開業までにしておかなければならない申請の流れを確認しましょう。

まず飲食店の営業では食品衛生管理者の資格が必須です。これは講習を受講するだけで取得できますので、すぐに地元の自治体に問い合わせて取得しましょう。同様に防火管理者という資格も必要です。これは建物全体の収容人数が従業員ふくめて30人以上の場合に義務付けられている資格で、これも消防署で講習を受けるだけで取得できますから必ず取得しておきましょう。次に飲食店営業許可の手続きを保健所に対して行わなければなりません。開業するお店を管轄する各自治体の保健所にまず問い合わせて必要な書類や図面、検査のスケジュールなどについて指導を受けます。できれば内装工事着手前に内装図面などを持って保健所に相談に行けば、許可に関するアドバイスなども受けられてスムーズな営業許可手続きになります。

水道水以外の貯水槽や井戸水などを使う場合は水質検査を行っておく必要があります。許可申請後に保健所の職員がオーナー立会いのもと実地検査に来ますので、それをクリアすれば営業許可が下ります。これらの手続きは自力でもなんとか可能ですが、居酒屋やバーで注意したいのは、深夜0時以降にお酒を提供する場合、深夜酒類提供飲食店営業許可という申請手続きも必要になることです。これは警察署に出す許可手続きで、申請手続きや要件も複雑です。もし深夜営業のバーなどを開業する場合は、物件や内装についてまだ決まっていない段階で専門の行政書士などに相談しましょう。立地に関しても法的な制限があるので、営業開始寸前で許可申請手続きをすると場合によっては法令違反になって営業できないという場合もあるからです。

2.開業前の準備その2~コンセプトの決定・資金調達・物件探し~

(1)コンセプトの決定

どんな商売にも言えることですが、まず商売のコンセプトを決めるということが大切です。居酒屋やバーと一口に言っても様々なコンセプトが考えられます。気軽にお客さんが立ち寄れる大衆的な居酒屋、ワインを中心に提供する居酒屋、あるいはエグゼクティブの集まる高級なバーなど、いろいろなタイプの居酒屋やバーがありますね。そういった中からあなたが経営していきたいお店のタイプを最初に決めます。そうする事でお店のターゲットとなる客層が見えてきますので、次にターゲットとなる客層の人たちが集まる場所や地域、時間帯はどこだろうかといった事がしぼられ、立地の選定に関してヒントを得ることができるのです。店のコンセプトの決定に関しては立地から選ぶ方法でもかまいません。立地をまず決めるとその周辺の人の流れや客層の種類などがわかり、どのようなタイプの居酒屋やバーがその立地に向いているかわかるからです。

(2)資金調達

こうしてお店のコンセプトが決まればいよいよ物件探し、といきたいところですが、あなたに開業するための十分な資金があるかどうかが問題です。開業には大まかに言って物件取得費、内装工事費、備品類の購入費や販促費、運転資金といった費用がかかります。費用が具体的にどれくらいかかるか明確にするため、しっかりとした事業計画書を作成しなくてはなりません。事業計画書を作成しておくと予定外に費用がかかる場合でも予算のずれを最小限にすることができますし、なにより金融機関から融資を受けることができやすくなるのです。融資は民間銀行から受けることができますが、飲食店への融資は審査が厳しいため、政府系の金融機関である公庫や各自治体が行っている創業融資制度などを利用することになるでしょう。こうして開業資金を調達したら物件を探していくことになります。

(3)物件探し

物件は、お店のコンセプトに合った場所、規模、家賃の適正などを吟味して、大家側の条件や法律上の制限などをクリアしているかなども確認して選定していきます。良い物件は不動産屋の広告にはあまり出ないので、地元の商工会議所に相談するなどしてよい物件を探し出しましょう。

3.開業前の準備その3~内装設備工事とお店の雰囲気づくり~

物件が決まったら内装工事と設備工事です。居酒屋やバーは他の飲食店と比べてもお店の雰囲気や内装の演出はとても大事な要素となってきます。もしオーナーであるあなたがあまり内装に関する知識がない場合は、居酒屋やバーの内装に関して実績のある内装工事業者を選んでください。その際は複数の業者と連絡をとって相見積もりをしましょう。内装工事業者とは頻繁に連絡を取り合ったり、追加の工事を依頼したりすることもありますので、対応が親切かどうか、居酒屋バーの経営に関する基本知識があるかどうかなども選定のポイントになります。内装工事業者が決まれば契約して工事開始です。お店に必要となる厨房機器や食器のほか、お店のコンセプトによって必要な機材は変わってくるでしょうが、冷蔵冷凍庫やフライヤー、ガスレンジなど故障すると営業ができなくなってしまう機材については新品の購入を検討したほうが無難です。シンクや調理台、棚、調理器具などは中古でも構いませんから、専門の販売業者やインターネットのオークションなどをチェックします。照明や椅子、テーブルなどもお店のコンセプトに合ったものをできるだけ安くそろえていきましょう。

4.開業前の準備その4~仕入れルートとメニューの決定~

(1)仕入れルート

居酒屋やバーの場合、仕入れ先は酒類の専門店やそれぞれのお酒の蔵元など、他の飲食店より専門的な業者になります。居酒屋・バーの経営がしたいと思っている方ですからお酒についての知識は豊富でしょう。仕入れ先についてはすでに見当がついているかもしれません。もしまだ仕入れ先が決まっていない場合は、同業者やお店の主力となるお酒について詳しい専門家などと連絡を取って仕入れ先を探します。

仕入れ先を決定する要素は「安さ」「品質」「納期や対応力の良さ」「担当者の専門知識量」などが決め手となります。仕入れ業者が決まったら、その業者とは継続して信頼関係を築いていくことが重要です。価格が安いからと言ってコロコロ仕入れ業者を変えていると、重要な情報や良い商品を入れてはくれません。特にワインやウィスキーなどを扱う場合は、お酒に関する細かな情報を常に得ることができるかどうかは商売にとって生命線となります。仕入れ先と仲良くなることはお店経営のカギを握っているといっても過言ではないでしょう。

(2)メニューの決定

次にメニューの決定です。居酒屋の場合、メニューは通常の飲食店と同様にお店の重要なウリになります。メニューはお店のコンセプトに合った分野から、少し立地の離れた人気の競合店や人気のグルメサイト、他社のチェーン店のメニューなどを参考に決めていきます。メニューはお客さんにどういった点に価値を感じてもらうかがポイント。価格の安さなのか、素材の良さなのか、メニューの斬新さなのか、美味しさなのかといった、ウリにしたい要素を決めてから、原価率や調理の手間や能力などを考えて決めていってください。

5.開業準備その5~宣伝~

いよいよ開業です。さてそこでたくさんのお客さんにお店に足を運んでもらわなければなりませんが、放っておいてもお客さんは増えませんから、しっかり宣伝をしなければなりません。

集客に関する広告、宣伝については情報を集めるとネット、書籍を問わず膨大なノウハウが集まります。ですから最初の段階は広告媒体をしぼって検証、試行を繰り返していくことも重要です。広告媒体はあなたの店のターゲットとなるお客さんたちがアクセスしやすい広告媒体、そして広告費用と広告にさく労力を考えながら決めていくとよいでしょう。

代表的な広告媒体はホームページやフェイスブックなどのSNSを使ったもの、折り込みチラシなど紙のアナログ媒体、タウン誌や情報誌への掲載などになります。どれも一長一短ありますが、重要なのは各広告媒体での費用対効果をしっかり計算できるようにしておくことです。

お客さんにアンケートをとったり、情報誌ごとに異なったクーポンをつけたりなどして、どの広告媒体からどれくらいの費用でどれくらいのお客さんが流れてきたのかを明確にしていきます。そうすることでより効果的な広告戦略を続けていくことができるのです。また居酒屋やバーの広告で意外にも費用対効果が高いのが看板です。看板は単にお店の存在を通行人に知らせるだけでなく、お店のコンセプトそのものを伝える役割を果たすので、文字の大きさ、看板の素材、設置場所などをよく吟味して設置する必要があります。

まとめ

居酒屋やバーの経営にはただ単にお酒や料理が好きだという熱意だけでなく経営者としての力量が問われます。このコラムで説明したこと以外にも従業員の確保や労務管理、マーケット調査や税金を含む会計処理など、経営者としてやらなければならないことは山のようにあります。開業しても集客がうまくいくかどうか試行錯誤が続くでしょうし、競合も多く厳しい業界ではあります。しかしうまくいけば自分の好きなコンセプトでお店を繁盛させ、さまざまな人たちとの交流の場を作ることができる、夢のある選択でもあるのが居酒屋やバーの経営です。困難さを夢と熱意で乗り越えてみたいという方はぜひ挑戦してみてください。